株式会社AI Samurai(本社:東京都千代田区、代表取締役:白坂 一)は、新サービス「観る特許(みるとっきょ)」を開発した。特許公報を読み込ませるだけで、台本・ナレーション・画面をAIが自動で生成し、1本の解説動画に仕上げる。第1弾となるデモ動画は、YouTubeチャンネル「テックニキ白坂一のビジネスラボ」で公開されている。提供開始は2026年11月1日で、料金は動画1本(5〜15分)につき30,000円。

専門家しか読めなかった特許を「観る」形に変える
特許公報には、競合他社がどの技術に投資し、どこで事業を守ろうとしているかが記されている。ただし、請求項の独特な文体や分類コード、譲渡・担保設定といった権利の動きは、知財の専門家でなければ読み解くのが難しい。そのため、経営層や事業部門には情報が届きにくいのが実情だった。
AI Samuraiは2015年の創業以来、特許の検索・評価・作成をAIで支援してきた。「観る特許」はその延長として、「特許を、専門家でなくても15分で把握できる形に変える」ことを目指している。対象となる特許公報は1件でも、ある企業の保有特許群でもよく、読み込ませるとAIが次の工程を自動で進める。
- 公報の請求項・明細書・書誌事項(出願人、発明者、譲渡・担保設定の記録、ファミリー)を解析する
- 周辺の公開情報(第三者の分析、企業の公式発表、報道)と照合し、根拠の強さを区分する
- 「何を持っているか」「どこから来たか」「何に使うつもりか」の順で台本を構成する
- ナレーション音声と画面を生成し、1本の動画として出力する
動画は推理と事実を分けて語り、「反対の見方」も必ず提示する構成になっている。視聴者は根拠の強さを確かめながら判断できる。料金について同社は、知財部門が外注してきた分析レポートや記念動画の制作費と比べて、気軽に試せる水準に設定したとしている。

競合分析から記念動画まで、同社が示す3つの価値
同社が挙げる1つ目の価値は「競合他社分析を、誰でも15分で」。特許の件数、由来、技術の系統、権利の動きを一望できる。これまで知財部門が作っていた分析レポートの「初稿」を、事業部門や経営層が自分で手に入れられるようになる。
2つ目は「特許から経済と事業を読み解く」こと。譲渡の日付、担保設定、継続出願の流れ、業界団体への加入、利用規約の補償条項までを追う。そうすることで、特許の束から企業の資金調達、M&A、上場準備、重点領域といった事業の動きを読み取れるという。
3つ目は、特許取得の「思い出」を残すこと。自社や発明者が取得した特許を1本の動画にすれば、開発の経緯や技術の価値を社内外に伝えられる。登録記念、発明者表彰、採用広報、株主・取引先への説明などの場面で、知財を「資料」から「物語」に変えて活用することを想定している。

第1弾はAnthropicの米国登録特許26件を読み解く
公開されたデモ動画のタイトルは「【特別版】Claudeを作るAnthropicの特許26件はすべて「他社由来」だった|特許公報からAIが自動生成した解説動画」で、長さは15分02秒。Anthropicの米国登録特許26件がすべて他社由来(IBM 22件、Adept 4件)であることを出発点に、4つの「思惑」を根拠の強さとともに示している。主な内容は次の通り。
- Anthropicの米国登録特許26件は、すべて他社の出願に由来(2026年10月22日時点、Google Patents表示)
- IBM由来の22件は2025年5月22日に移転が記録され、同年7月に担保設定の記録
- 2026年7月、テネシー大学研究財団による特許侵害訴訟(デラウェア連邦地裁)
- 特許の中身を「画面操作エージェント」「文書処理」「敵対的攻撃への防御」「音声認識」の4系統に整理
- LOT Network加入、MCPのApache 2.0寄贈、OpenAIの特許誓約との比較
- 特許の束から推理できる4つの思惑と、それぞれの根拠の強さ
- AIを業務で使う企業が確認すべき3点(出力の帰属、特許侵害時の補償、その除外)
白坂代表は「特許は会社にとっての刀です。ただ、持つ理由は切るためとは限りません」と話す。さらに「公報を読み込ませて動画にしてみると、件数や分類では見えなかった『この会社は何を考えているのか』が、推理として立ち上がってきます」と述べた。そのうえで、「知財の専門家だけが読める資料だった特許を、経営や事業の言葉に翻訳して届けること。そして、特許を取った人たちの努力を1本の動画として残すこと。この2つを、AIで当たり前にしたいと考えています」とコメントしている。
サービス概要
- サービス名:観る特許(みるとっきょ)
- 内容:指定の特許公報(1件、または企業の保有特許群)から解説動画を1本制作
- 動画の長さ:1本あたり5〜15分
- 料金:1本 30,000円
- 納品形式:動画ファイル(MP4)
- 対象公報:日本・米国の特許公報から順次拡大
- 提供開始時期:2026年11月1日
- 申し込み:「info@aisamurai.co.jp」まで連絡
なお、同社が限定150社で募集していた「AI Samurai MCPサーバー」の2週間無料トライアルは、定員に達したため受付を終了した。申し込んだ企業には、メールで詳細を案内しているという。製品デモや導入に関する相談は、同社ホームページの問い合わせ窓口で随時受け付けている。